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人材育成を低難易度化するZ世代マネジメントとは? ~「新卒社員が育たない」からの脱却~vol.3

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1990年代後半に誕生したZ世代(ジェネレーションZ)が2020年代以降になり徐々に社会参加する時代となった今、世代の違いによる認識齟齬が徐々にジェネレーションギャップを生みだしつつあります。

前回の記事では、Z世代の特徴や価値観の理解についてを解説し、またそれを踏まえた上で企業としてどのようにアクションしていくべきなのかについてお伝えしました。今回の記事では、Z世代マネジメントの組織への実装方法について解説していきます。

組織への実装方法

ここまで、Z世代のマネジメント手法において3つのポイントをご紹介してきました。次は、それらをどのように現場で実践し、運用していくのかについてお伝えしていきます。

組織に実装する上でのポイント

ここで陥りがちな罠は、これらの要素を指導していくために経営者の方がこの要素だけをマネージャーへ丸投げしたり、俗人的な浸透を許してしまったりすることです。これでは効率や効果が大きくばらつき、マネージャーの負担も非常に高まる上、一過性に終わってしまう可能性が高くなります。

つまり、人に頼りすぎず、仕組みでスキル開発を支援していくことが重要です。

人に頼りすぎない部下マネジメントが鍵

実際に、私が経営するITエンジニアの派遣会社で離職率の高さに悩まされた際に、人に頼る属人的な新人の人材育成を推進してしまったことがあり、そのことが原因でマネジメント層のエンゲージメントの低下を招きました。若手社員の離職が止まらなかったときには、マネージャー陣から「教え損だ」「方針を変更してほしい」と詰め寄られることもあったほどです。

そこで、人頼みのマネジメントからの脱却と将来を担う若手社員の育成を継続するために、これまでご紹介した「Z世代マネジメント手法」をシステムにより推進したところ、マネージャー陣のエンゲージメントがV字回復しました。

新入社員の採用と育成を強化して、かつ、マネジメント工数を低減させながら、組織全体のエンゲージメントを大幅に向上させることができたのです。そして、離職率も大幅に低減しました。

これが実際の経験から得られた、Z世代の育成マネジメントの手法です。そして、この手法をシステム化したのがスキルマネジメントシステム『skillty』になります。

skilltyのご紹介

最後にskilltyのご紹介をいたします。これまでの経験と工夫を凝らして商品化したシステムが、スキルマネジメントシステム『Skillty』です。

このシステムの設計のポイントは、PDCAサイクルを誰もが簡単に継続的に回していくことに主眼を置いています。なぜ若手社員の人材育成がうまくいかないかと言うと、多くの場合はこのPDCAが回っていないからなのです。

Planのポイント:アクションの見える化

skilltyでは、先ほどご紹介したスキルマップをデフォルトでご用意しています。そのため、現在職場にスキルマップがなくとも、すぐにご用意・ご活用いただくことが可能です。もちろん、職種職位によってスキルマップのカスタマイズも可能で、そのデータを反映してシステムに登録します。

そして、利用者は登録したアクションリストをWEBブラウザによって、毎週または毎月、アンケート形式で推進していきます。

Doのポイント:明確な基準のフィードバック

その際、アクションの達成結果を確認するために達成コメントを入力していただきます。これにより、スキル習得の内省化や定着を促すことができます。

ここでchatGPTのAPIを活用することで、そのアクション結果が習得基準を満たしているのか、何が不足しているのかの判定基準が的確なフィードバックがされます。AIによる高い基準での習得サポートが可能となるため、マネージャーのフィードバック工数も削減できます。

Checkのポイント:課題の特定

skilltyでは、やりっぱなしの状態を防ぐためのチェックや振り返りの機能もご用意しています。

改善サイクルを回す上では特に課題の特定が重要です。各スキルの詳細な習得状況がレーダーチャートにより一目で確認できるため、自身の強み、弱みの棚卸が瞬時に可能となり、成長課題が一目でわかります。

改善すべきスキルギャップについては、具体的に言語化されたアクションとして把握することができるため、次の目標も具体的に推進することができます。1on1でも活用できる上、上司は部下の現状のスキル習得状況を瞬時に把握できるため、事前の準備時間を大幅に削減可能です。さらに、改善アクションが言語化されているため、新米マネージャーでも的確な指導や支援が可能になります。

Actionのポイント:行動の優先化

skilltyは、ただ闇雲に次のアクションを推進するのではなく、先ほどの課題をもとにシステム上で優先度を設定して推進します。

被評価者はお気に入りマークを、評価者はLETSTRYマークを部下につけて、必要なスキルを優先して推進していくことが可能です。この一連のサイクルを簡単に実行できることで、スキルマップ運用の形骸化を防ぐとともに、確実な能力開発を仕組みで推進することができます。

また、スキルだけではなく、仕事や理念の意味や意義の理解を育むために、会社の方向性を言語化したガイドラインの理解度をチェックする仕掛けを設け、浸透度を図る機会も提供していきます。その理解度も点数化、出来高として人事評価に繋げます。

スキルマップの習得度と評価との連携

その期末のスキルの出来高については、人事評価システムに連携して評価点として算出を行います。アクションリストの明確な基準で査定されたものになるため、非常に納得度が高い評点を提供することが可能です。

運用を促すための仕掛け

さらに、運用を促すための仕掛けとして、スキル習得に関するトロフィー機能もあります。これを活用して、承認、賞賛、表彰の機会を増やして、尊重する文化を形成するのに役立てることが可能です。

成長に影響を与えるコンディション把握

また、成長阻害となりうるコンディションの状態を可視化することで、早期のフォローアップも可能です。社員との信頼関係を高めることは離職防止にも繋がります。これらを活用して、ウエルービーイング経営を実践していくことができます。

「社会人基礎力」が高まると

このシステムを活用すると社会人基礎力が高まっていくことになります。

社会人基礎力の「チームで働く力の向上による関係性の質の強化」「考え抜く力の向上による思考の質の強化」「前に踏み出す力の向上による行動の質の強化」を達成することにより、仕事の成果や結果の質が高まるといったMIT組織学習センター共同創始者のダニエルキム氏によって提唱された組織の成功循環モデルが推進できるのです。

その結果、自社の様々な施策が機能して、従業員エンゲージメントが高まることに繋がります。

人材育成を仕組み化した成果

実際に、私が経営するIT企業においてはビジネススキルと技術継承が容易になり、顧客満足度の向上キャリア志向とリスキリングによる技術力の向上で値上げ交渉が上手くいき利益率が向上しました。

育成については、マネージャーに依存した人材育成から脱却して、マネジメント層のエンゲージメントを大幅に向上させました。1on1による効果的なフィードバックも推進して、同業種でNo.1の実績を上げることができました。

導入事例:新日本コンピュータマネジメント様

実際の導入事例をご紹介します。

新日本コンピュータマネジメント様は、社員数300名規模のIT・開発系の企業様です。Skilltyを活用して、オンボーディングと人材育成にかかる管理職の負担を大きく軽減しながら、若手社員の育成スピードの向上に成功されています。

導入事例:シャイン総研様

経営コンサルティングの企業様であるシャイン総研様は、組織拡大にチャレンジする中での人材育成の仕組み化により、現場負担の軽減を実現しました。また、1on1によるスキルベースの会話で質も高まり、評価とスキルアップの効率化を達成しています。

参考資料:書籍『スキルマネジメント』

ここまでご案内した内容について、エンゲージメントの視点で詳細記した書籍を2月に刊行しています。人材育成だけではなく、エンゲージメントの施策もしっかりととりくまれたい方にぜひお手に取っていただけると嬉しいです。

こちらはAmazonページの書籍紹介欄に、「エンゲージメントの高い組織になるチェックポイント」をご用意しています。ぜひセルフチェックにご活用ください。

専門スキル設計の参考資料

技術力については、業種ごとに詳細をピックアップして因数分解していく作業が必要です。その際に参考になるのが下記記載のサイトになります。

■IPA 情報処理推進機構:
https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/plus-it-ui/history/icd.html

■厚生労働省:
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/ability_skill/syokunou/0000093584.html?fbclid=IwAR1jBtA5WZqiqkMOndZA5cXH7Ld24bkVT0_51DgvEJNLkArIhVH1SuRvYlg

専門スキルのスキルマップを詳細に作成する際はぜひ参考にしてください。

何のスキルを身に付けるか スキルマップ

スキルマップの一例をご紹介します。

上図のように、先ほどご紹介したノンテクニカルスキル、ソフトスキルとなる社会人基礎力をフレームワークで活用して、専門スキルや特殊スキル、管理職はマネジメントスキルなどで構成します。

このようなスキルマップを通じて各スキルを具体的かつ網羅的に明示し、そのスキルが持つ意義や価値を伝えることが重要です。これにより、新入社員は何を学ぶべきか明確に認識して、それに向かって成長意欲をもって取り組むことができます。

また、WILLのセクションで触れたMVVや人事評価制度を黄色の自社理解として、キャリアの設計をスキルマップに組み込むことで、これらの要素を日常業務の中で意識し続けることが可能となります。この統合的なアプローチが、新入社員の持続的な成長と組織の発展をサポートするのです。

人事評価制度の整備で納得感も高まる

これらの行動指針とスキルマップの組み合わせにより評価制度はシンプルに整備でき、かつ、納得感の高いものになります。

具体的には、行動特性コンピテンシーにスキルマップの習得度を、行動指針の体現を評価軸として組み込みます。これにより、スキルマップによる成長促進と、行動指針よる企業文化の醸成が叶います。このような仕組みの中で、従業員エンゲージメントを育むことができるのです。

従業員エンゲージメントを高めるポイント

その下地をつくる次のステップが、成長の促進になります。

成長とは、「できないことをできるようにすること」です。できないことをできるようにして、仕事を進捗させられれば、自己効力感は高まり、さらなる成長意欲と目的意識が高まっていくものです。

この「できる」「できない」が不明確の場合、部下は困惑してしまいます。最悪のケースでは、できていないことも認知できないまま、年齢を重ねてしまうケースもあるかもしれません。そのような状況で成長意欲を育むことは非常に難しく、業績にも影響が出てしまいます。

成長支援をしていくことで、社員も「会社の目標にも関わっていこう」「貢献していこう」という意欲が育まれるのです。

人材投資と生産性のメカニズム

さらに、日本生産性総合研究センターの調査では、生産性と人材投資、組織開発が直接ではないが、間接的に大きく相関することが明らかになっています。

人材開発への投資は、自己効力感、企業理念の浸透、そして、次世代のリーダー候補を自覚させるのに有効であり、その結果として、チームワークや創造性、主体的行動へと繋がり、生産性が高まるという分析をしています。

また、直接的ではありませんが、中長期的な視点での影響力としては、成長環境への投資と開発が会社の利益へと繋がっていくため、成長環境を構築することも非常に大切です。加えて、マネージャー陣の意識を変革する必要性もあります。

とはいえ、ここで注意しなくてはいけないことがあります。従業員の不満足の解消に傾倒してしまう罠に続き、今度は成長を促進するマネジメントの中に潜む罠が存在するのです。この次の罠とは「モチベーション管理に過度に焦点を当てすぎること」です。

システムで運用すると分析も容易に

スキルデータを収集することで、従業員の能力や特性を的確に把握し、その分析から効果的な育成計画を立案することが容易になります。

過去の社会人基礎力の調査事例を参考にすると、例えば、上の表に示されているように、社会人基礎力の発信力や柔軟性が極端に低いと判定されたグループは、人間関係の問題で離職のリスクが高まる可能性が考えられます。

左下の図のように、課題発見力やストレス管理能力が低いグループは、トラブルが生じた際に特に離職しやすい傾向があるでしょう。これらの分析結果を元にスキルマップを活用して、早期の指導や啓蒙、短期集中の研修を計画することで、離職リスクの高いスキルの弱点を効果的に改善することが期待できます。

さらに、右下の図で示されているように、社会人基礎力の主体性や規律性が低いグループは、顧客からのクレームのリスクが高まると予測されます。こうした予測を元に事前の指導や予防策を実施することで、企業のパフォーマンスの維持も図ることができます。

しかし、これらの分析は弱点の指摘だけにとどまらないことが重要です。従業員の強みや特性も明確になるため、それを最大限活用し、チームの編成やタレントマネジメントに役立てることができます。強みをさらに伸ばし、従業員のモチベーションを向上させることも、このようなスキル分析を通じて実現できるのです。

まとめ

今回の記事では、Z世代マネジメントの組織への実装方法について解説しましたが、その鍵は「人に頼りすぎない部下マネジメント」です。

そして、人頼みのマネジメントからの脱却や「Z世代マネジメント手法」を確立してシステム化したものが、スキルマネジメントシステム『skillty』になります。

このシステムの設計のポイントは、PDCAサイクルを誰もが簡単に継続的に回していくことに主眼を置いています。さらに、運用を促すための仕掛けとして、スキル習得に関するトロフィー機能も搭載しています。これを活用して、承認、賞賛、表彰の機会を増やして、尊重する文化を形成するのに役立てることが可能です。

スキルティ会社は、能力開発、人材育成を仕組み化することによって従業員の成長を促進し、組織の生産性向上に寄与することをミッションとしています。

本記事の内容をご参考にしていただき、自社に合うZ世代のマネジメント手法を確立していたら幸いです。最後まで、お読みいただきありがとうございました。

スキルティ 広報部
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