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人材育成を低難易度化するZ世代マネジメントとは? ~「新卒社員が育たない」からの脱却~vol.1

20240301621990年代後半に誕生したZ世代(ジェネレーションZ)が2020年代以降になり徐々に社会参加する時代となった今、世代の違いによる認識齟齬が徐々にジェネレーションギャップを生みだしつつあります。

実際に、Z世代の価値観が理解できずにマネジメントに苦戦している方は一定数おり、企業の新卒教育はアップデートが必要な時期にきていると言えるでしょう。

そこで本記事では、Z世代マネジメントについて解説していきます。

Z世代の特徴の理解

Z世代の特徴の理解

まずは、Z世代の特徴について理解しましょう。
Z世代(ジェネレーションZ)と呼ばれる世代は、1990年代中頃から2010年代初頭に生まれた人々を指す世代の名称です。ミレニアル世代(ジェネレーションY)の次に来る世代であるため、アルファベットの次の文字である「Z」を用いて命名されています。

世代の年齢層としては、2024年現在40代~60歳前後の世代がX世代、20代後半~40代前半の世代がY世代、そして13歳~28歳の範囲にいる層がZ世代と呼ばれる人たちです。Z世代の人材は、これからの10年間で我々の企業に新卒として入社してくる主力となります。

企業におけるポジションとしては、仕事の文脈では、彼らは「若手」と見なされる世代で、現在の労働市場に新しく参入しているか、キャリアを築き始めている段階にあります。20代後半であれば、すでに組織の主力となり欠かすことのできない戦力となっている人もいるはずです。

よく企業のマネジメント層が口癖のように「Z世代は何を考えているか分からない」と言いますが、これから主力となるこの世代に対する理解がなければ組織やチームの円滑な運営は難しくなると言えるでしょう。

この世代の特筆すべき点は、デジタル技術に非常に精通していることです。生まれた時からインターネットが存在し、さらには物心ついた頃にはスマホやSNSが存在していた世代であるため、デジタルリテラシーが高く、情報収集発信能力があり、自分の意思も強い特徴があるとも言われています。そのため、Z世代の人材は我々が考えているよりもずっと大きな可能性を秘めた企業にとって大切な存在、まさに今後の会社の行方を左右する重要な戦力になるはずです。

しかし、彼らの能力が発揮されていないとすると、それはマネジメント層、経営層の指導教育不足がひとつの原因とも言えます。

20代の成長環境と業績との関係性

2022年8月7日の日経新聞に、企業の業績と組織の成長環境に関する興味深い記事がありましたのでご紹介します。その内容は、2017年〜2021年の5年間の売上高の伸びを、以下の8項目のスコアとの連動性で検証しています。

□ 待遇面の満足度
□ 社員の士気
□ 風通しのよさ
□ 社員の相互尊重
□ 20代の成長環境
□ 人材の長期育成
□ 法令順守意識
□ 人事評価の適正感

20代の成長環境と業績との関係性

上記8項目のスコアのうち、最も業績と関係性があった項目は「人材の長期育成」と「20代の成長環境」でした。さらに、株価に関しては「20代の成長環境」が一番でした。このことから、生産性を向上させるには20代の成長環境の構築が重要だと考えられます。

つまり、日本での競争力を高めて相対的に企業価値を上げるためにも、Z世代の成長環境を整えていくことは重要なキーと言えるかもしれません。

では、そんなZ世代はどんな職場環境を求めているのでしょうか。もう少しミクロな視点で解説をしていきます。

Z世代が求めている職場環境

Z世代が求めている職場環境

リクルートマネジメントソリューションズの調査によると、Z世代は「相互尊重」と「協力」を重視した職場を理想としていることがわかっています。彼らにとって職場は、互いを尊重し、助け合うことが重要なコミュニティであるべきだと考えられているのです。

次に理想の上司像についてですが、Z世代は一人ひとりに対して丁寧に指導し、良い業績を称賛し、従業員の意見や考え方に耳を傾ける上司を望んでいます。少し耳の痛い話ではありますが、ある調査では「上司と過ごす時間は、従業員にとって1日の中で最悪の時間である」との結果も出ているため、真摯にこの期待に応えていかなけれなばらない時代だと言えるでしょう。

このことから、Z世代は職場において一人ひとりを大切にする環境を求めていることがわかります。しかし、ほとんどのマネージャーの皆様はプレイングマネージャーであるため、丁寧に指導することが難しい状況であり、これは非常に悩ましい問題となっています。

仕事をする上で重視すること

仕事をする上で重視すること

続いては、Z世代が仕事をする上で何を重視するのかについてお話しします。

最近の調査によると、Z世代は仕事における内発的な動機づけを非常に重要視していることがわかりました。具体的には、彼らは人や社会に役立つ仕事、感謝される貢献、個人的な成長、そして仕事の意味や意義を強く感じるやりがいを重視し、さらに、仲間と支え合い、一体感を持って働くことにも価値を置いています。

これに対して、金銭や競争、「No.1になる」といった外発的な動機づけは、内発的動機よりは低いようです。彼らは、自分の仕事に深い意味を見出し、社会貢献や個人的な成長を求める傾向が強いことがわかっています。

このことからZ世代は、仕事において内発的な動機づけに関わる要素を特に重視していくことが大切であると言えます。ただ、偏った要素を重視して、そのためだけに施策を進めることは、逆に他の要素をないがしろにしてしまうため多様性の観点で問題が発生します。外発的動機、環境要因とも言い、社員の不満足を招く要素にもなるため注意が必要です。

そのため、リソースが許す限り外発的動機も整えて、より内発的動機を育む環境や施策構築への取り組みが重要となります。

Z世代の仕事における価値観の理解

Z世代の仕事における価値観の理解

ここで、弊社がZ世代の未経験者を多く採用していく中で、高離職に直面した問題を共有したいと思います。

弊社では、ITエンジニアを輩出するビジョンのもと、研修を強化するアプローチで社員のキャリア支援を進めていました。ただ、1年も経たないうちに、「仕事が上手いかず、モチベーションを維持できない」「上司が忙しそうにしているため相談しにくい」「仕事の成果が上がらない中で将来のキャリアも不透明で不安」といった多くの声が上がってきました。

働き方改革により労働条件や環境についての不満は減っていましたが、このような「仕事と将来への不安」が多く上がるようになったのです。一般的に見てもキャリアへの不安の声が多く聞かれることから、現代の若者は、不満はないが不安が大きい状況であると言えるかもしれません。

入社後1年での悩みの壁

入社後1年での悩みの壁

最近の調査によると、Z世代の多くの新入社員は、想像以上に仕事ができない自分にショックを受け、自信を失ってしまうことがあるようです。これは、学生時代の成功体験や期待と、実際の職場とのギャップに起因することが多いと想定されており、期待値を上げてしまう会社側の責任でもあるかもしれません。

次に、「周りにどう思われているか」という不安も大きな問題です。彼らは自分を出すことを躊躇し、その結果、本来の能力を発揮できない傾向があります。また、与えられた仕事に意味ややりがいを感じられないという悩みもあるようです。

特にZ世代は先ほどの動機の要素として、仕事の意味や目的を重視する傾向があるため、単調な作業や自分の価値観と合わない仕事に対してモチベーションを維持するのが難しいのです。これらの課題は、学習の壁や自律の壁として現れることが多いため、新入社員がこれらの壁を乗り越え、自信を持って職場で活躍できるようサポートすることが大切になってきます。

まとめ

まとめ

1990年代後半に誕生したZ世代(ジェネレーションZ)が2020年代以降になり次々に社会参加する時代となりました。デジタル技術に非常に精通しているZ世代の人材は大きな可能性を秘めた、企業にとって大切な存在、まさに今後の会社の行方を左右する重要な戦力になると考えられます。

しかし、彼らの能力が発揮されていないとすると、それはマネジメント層、経営層の指導教育不足がひとつの原因とも言えます。今後、リソースが許す限り外発的動機を整えながら、より内発的動機を育む環境や施策構築への取り組みが重要だと言えるでしょう。

Z世代と呼ばれる若手社員に対しては、特徴や彼らの価値観を理解したうえで、成長につながるような丁寧な指導を行うとともに、自信を持って職場で活躍できるようサポートすることが大切です。

スキルティ 広報部
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