スキルアップ
スキルマップを活用して社員の能力を可視化することのメリットとは? 注意点と共にご紹介
あなたは「とある会社の営業部の課長」だとします。
ところが、あなたの課には現在、「全員がスランプに陥っている」という厄介な状況が発生しています。
さて、この状況を解決する「ベストな策」はあるのでしょうか?
もちろん、「最善の解決策」はあります。
それは、「スキルマップを作って活用していくこと」です。
そうは言っても、「スキルマップって何?」や「モノは知っているけど、どうすれば活用できるの?」という可能性もあるかもしれませんよね。
そこでこの記事では、基本を含めて「スキルマップの活用方法」を分かりやすく解説していきます。
スキルマップとは
応用をするためには、基礎ができていなければ話になりませんよね。
そこでまずは、「スキルマップとは何か?」という基本的なお話から押さえていきましょう。
スキルマップとは、「各従業員(含む「グループ・部門」など)の現在の業務内容に関するスキルレベルを可視化できるようにして表したもの」を言います。
ちなみに、海外では一般的には「スキルマトリックス(Skills Matrix)と呼ばれています。
このスキルマップは、「従業員の能力・技能を評価する」ことで、「新たな設定目標に挑戦する意識付け」や「やる気を引き出す」とともに、「達成や不足する能力・技能が視覚的に明示される」ことから、「教育計画を立て、能力向上を図る」ツールとしても使われるものです。
なお、スキルマップにおける「必要な能力や技能」は、「各自の業務内容」と「職責レベル」によって設定されます。
スキルマップの作成方法
では、スキルマップはどのようにして作っていくのでしょうか?
スキルマップは次の手順で作っていくと良いでしょう。
スキルマップの作り方
1.目的を明確にする(なぜ作るのか?)
2.フォーマットを決める(どのような書式にするか?)
3. スキルの内容を明確に分類する(何をスキルとして評価していくのか?)
4. 評価基準を決める(何をどのような基準で評価していくのか?)
5. フィードバックする(誰がどのスキルをどの程度できていたのか?)
言われてみれば当たり前の話ですが、どれか1つがグダグダでも、活用しやすいスキルマップにはなり得ません。
そうは言っても、この中で一番難しいのは、「フォーマットを決める(どのような書式にするか?)
」ですよね。
スキルマップの書式としては、縦軸に「業務内容と必要能力・技能や資格など」を置き、横軸に「従業員名」を書き、「それぞれの交わるセルにスキルの達成度合いを表す評価表を記していく」スタイルが一般的です。
そのため、従業員数やスキルの項目数などに応じて縦横の軸を入れ替えるなど、「分かりやすく使いやすい書式」で作っていければ問題ないでしょう。
ちなみに、「スキルの達成度合い」は「分かりやすい基準に基づき付けていく」ことを忘れないようにしてくださいね。
Ex.作業習熟度の評価基準
1:教えてもらいながらであれば問題なく遂行できる
2:単独で問題なく遂行できる
3:他の作業者に対する補助ができる
4:作業者への教育ができる
弊社代表取締役社長の書籍が出版されます!
従業員エンゲージメントを仕組み化する スキルマネジメント:中塚敏明著
スキルマップ作成のメリット
スキルマップの作り方が分かったところで、「でも、なぜそんなものを作る必要があるの?」と思っている方もいるかもしれませんよね。
実は、スキルマップを作ることには、下記のメリットがあるんです!
スキルマップを作るメリット
・従業員のスキルの可視化
・従業員のスキルアップ/スキルギャップの解消
・従業員のモチベーションアップ
・最適な人材配置の実現
・公平な人事評価の実施
・採用時のミスマッチ防止
・業務内容の整理/標準化
例えば、「従業員のスキルの可視化」ができれば、「誰がどんなスキルを持っているのか」や「どこで活かせるスキルなのか」がすぐに分かり、「自社が必要としているスキルを持つ従業員の割合も把握」にも繋がります。
さらに、「各部署や役職にどのようなスキルが必要なのかが具体化される」ことで、「企業が求めるスキルレベルに達していない従業員にどのような研修を行なえば良いか?」などの育成プランが立てやすくなるでしょう。
また、「必要スキルが可視化される」結果、「誰がどの程度のスキルを持っているのか」や「どのくらいのスキルアップに成功したか」などを客観的に判断できるようになるため、「全従業員が納得できる人事評価法」が実施できるようにもなります。
加えて、「不足しているスキル」も「把握しやすくなる」ことから、新たに人材募集をかける際にも「このスキルを持っている人物が欲しい!」という意思を明示できるため、採用時の「企業と求職者のミスマッチ」を減らせるかもしれません。
これらの理由から、スキルマップの作成を導入し、活用する企業が増えていると言えます。
スキルマップ導入時の注意点
メリットがあれば、「デメリットや注意点もあるもの」なので、「合わせて確認しておきたい」と言えます。
スキルマップを取り入れていく上での注意点には、以下が挙げられます。
スキルマップ導入時の注意点
・スキル項目は具体的に書き出す(ただし、細分化の度が過ぎると管理が難しくなるので注意!)
・作成に全従業員を関わらせること
・評価者の選定を慎重に行い、社内全体に共有すること
・「定期的な更新」を忘れない(業務内容や経営方針の変化などに合わせて、記載すべきスキルも変わっていくから)
・評価後のアクションを決めておく(「作って評価して終わり」では、活用に繋がらないから)
中でも、気を付けるべきは、「作成に全従業員を関わらせること」と「評価者の選定を慎重に行い、社内全体に共有すること」です。
スキルマップは、「各従業員(含む「グループ・部門」など)の現在の業務内容に関するスキルレベルを可視化できるようにして表したもの」のため、作成時に中心となる人物は、「管理者」や「リーダー職」にある人物がほとんどかもしれません。
確かに、「管理者」や「リーダー職」にある人物は「業務全体や必要なスキルを把握していることが多い」ことから、「スキルマップの作成者には最適」です。
しかし、「現場にいない人物がスキルマップの作成者に選定されていた」場合、「現場の細かい実情まで理解が及ばない可能性がある」でしょう。
そうしたことから、スキルマップを作成していく上では、実際の運用に支障が出ないためにも「作成に全従業員を関わること」が重要なんです。
さらに、仮に「従業員全員で作ったスキルマップ」であったとしても、その評価担当者が「自分のお気に入りの従業員には甘い評価を付けて、嫌いな従業員には辛口の評価を付ける」といった「露骨なえこひいきをする人物」であった場合、「公平な評価を得ること」は難しいですよね。
また、「スキルマップの評価結果を上層部だけに公開する」などの「『不透明な運用』が行われている」場合、「うちの会社、本当に大丈夫なんだろうか?」と従業員の不信に繋がり、「従業員エンゲージメント(会社への信頼度や愛着心)の低下」を招くかもしれません。
こうした「無用なリスクを排除する」ためにも、注意点を踏まえた上での運用をしていくべきでしょう。
スキルマップの作成・活用がおすすめになる業界・職種
では最後に、「スキルマップの作成・活用がおすすめになる業界や職種」には何があるのかを見ておきましょう。
基本的には「どこの業界・職種であってもスキルマップは作って活用するべき」ですが、特におすすめとなるのは、「IT」や「製造」、「建築」と言った「高度な知識やスキル、専門性が必要になる業界」です。
また、「多様なスキルが必要となる」ことから「営業職」もスキルマップの作成や活用がおすすめになる職種と言えます。
そのため、これらの業界・職種においては、「積極的に」スキルマップを取り入れていってくださいね!
まとめ
スキルマップを作成することは、従業員のスキルを的確に把握し
企業の成長のカンフル剤」とすることができます。
そのため、「積極的に作成して活用していきたい」ものですが
「作成や運用時に注意点がある」ことも心に留めておきましょう。
作成や活用が上手にできていれば、自然と現状の把握ができるようになり、組織としての強みや弱みに応じた人材配置ができ、やがては「従業員エンゲージメントの向上」にも繋がるかもしれません。
透明性の高いスキルマップの活用を心がけて、「成長の鈍らない組織作り」をしていけると良いですね!
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