人材マネジメント
人事評価制度の種類には何がある? 代表的な4つを解説
人事評価制度は「等級制度」や「報酬制度」と連動してくる「人事の要」のひとつですよね。
そうは言っても、「実際の人事評価にはどんな種類があるのだろう?」と疑問に思っている人も少なくないでしょう。
そこで今回は「代表的な人事評価制度の方法」を4種類紹介していきますね。
MBO型目標管理
MBO型目標管理の「MBO」とは、「Management By Objectives」の頭文字を取った略称で、「会社の目標を組織や個人の目標に落とし込み、達成度によって評価する方法」です。
この方法はオーストリアのユダヤ系経営学者・ピーター・ドラッカーが提唱したことで知られています。
ちなみに、ドラッカーの名は、10年ほど前に大流行りした『もしドラ』こと『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』でも登場しているので、聞き覚えのある人も多いかもしれませんね。
この目標管理制度(MBO)は、「従業員それぞれが定めた目標に向かって業務に取り組んでいける」ことから、「企業全体の目標達成に繋げられ」、さらに、「期間や取り組む内容などを具体化できる」ことで、評価がしやすく、評価する側/される側双方に納得感が生まれやすいと言われています。
ただし、「成功」とされるのは、「目標を100%達成できた場合」なので、「目標事項の変動の大きい企業には不向き」と言えるでしょう。
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OKR型目標管理
OKR型目標管理の「OKR」とは、「Objective Key Results」の頭文字を取った略称で、MBO型と同じく「会社の目標を組織や個人の目標に落とし込み、達成度によって評価する方法」です。
「インテル、入ってる?」でお馴染みの『インテル社』で生まれ、GoogleやFacebookと言ったアメリカの大手IT企業を中心に積極的に取り入れられている方法になります。
先ほど紹介した「MBO」と同じ「目標管理型」ではありますが、「個人目標が全社員に共有されること(※MBO型の共有範囲は「上長や関連する評価者」に限られる)」や「評価スパンが短い」、「目標の6〜7割達成で成功とみなされる」などの違いがあります。
MBOとOKRの違い
MBO
・目標の共有範囲:上長や関連する評価者
・評価頻度:四半期〜半期
・達成基準:100%達成がマスト
・評価指標:定性評価(数値などの明確な実績や成果では表せない対象への評価)と定量評価(数値化したデータを基に客観的な評価を行うこと)を組み合わせる場合が多い
OKR
・目標の共有範囲:全社員
・評価頻度:月1回など高頻度
・達成基準:高めの目標を設定しておき、60~70%の達成で「成功」とみなす
・評価指標:定量評価
そのため、「各自の貢献が企業の業績に繋がることでモチベーションが高まる」、「設定目標が高いことから設定者によるバラつきが少なくなる」などのメリットがあります。
しかし、「評価機会が頻繁にあることで、管理工数が多くなる」、「目標以外の業務に対する関心が薄くなる可能性がある」などのデメリットがある点には注意しましょう。
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コンピテンシー評価
コンピテンシー評価の「コンピテンシー(competency)」とは、「能力」や「資格」、「適性」などを意味する英語で、日本のビジネス用語としては、「業務遂行能力」を指して言います。
つまり、コンピテンシー評価とは、「業務遂行能力が高い従業員に共通する行動特性を参考に評価の項目を設定し、評価していく」方法を指します。
このコンピテンシー評価では、「高パフォーマンスの従業員が持つ、スキルや知識、能力などの行動特性を分析し、評価する上での基準を明確にできる」ことから、「評価のブレが発生しない」ことが特徴です。
また、「あるべき姿により近い姿勢や行動を行っている優秀な従業員」の行動特性を「手本として示す」ことで、周囲も同じ特性を身に付けられることから、「組織の底上げに繋げられる」可能性があり、さらに、「行動特性とパフォーマンスの結び付きを示せる」ことから、評価時の納得感が得られやすいという利点があります。
とは言え、「定性評価がメイン」となることで、「評価がバラつくおそれがある」、「評価されるのが行動面」であることから、「実際の業績(結果)との乖離が懸念される」といった問題点が考えられるため、注意が必要でしょう。
360度評価
360度評価は、「上司からの評価に加え、先輩や後輩など複数の同僚からの評価も加味する方法」を言います。
「上司が部下を評価すること」はもちろんですが「部下が上司を評価すること」も含まれています。
この360度評価は、「上司の視点からでは判断できない特性などを補完し、評価の公平性や妥当性、信頼性が担保される」ことや「複数名から評価される」ことで、「評価される側の納得感を高くできる」ことが強みです。
また、「部下が上司を評価する」ことで、「経営層には分からなかった実態まで把握できる」と言ったメリットもあります。
しかし一方で、「上司が部下からの評価を気にして、適切なマネジメントや教育を避ける懸念がある」や「評価に慣れていない従業員も評価に参加するため、評価の方法をあらかじめ指導する必要がある」などのデメリットがあることを忘れてはなりません。
まとめ
人事評価制度には、今回挙げた4種類以外にも多くの方法があります。
そのため、「どの方法が自社に適しているか」を見定める必要があります。
どの方法を選ぶにしても、「一長一短はあるもの」なので、「メリットだけでなくデメリットまでしっかりと確認した上で選んでいきたい」と言えるでしょう。
あなたの会社にフィットする人事評価制度を選んで、全社員が納得できる評価制度を運用していけると良いですね!
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