働き方改革
マインドセットを上手く活用するにはどうすれば良い? 要点を分かりやすく解説します!
最近耳にするようになってきた「マインドセット」という言葉。
英語では「mindset」と綴(つづ)り、「人の考え方や好み、習慣」を意味します。
実はこのマインドセットは、「今ビジネスをしていく上でとても注目されているもの」なんですよ!
今回はマインドセットの基礎知識から、ビジネスでの活用法までを分かりやすく解説していきますね。
マインドセットとは何?
本題に入っていく前に肝心なのは、今回のキーワード「マインドセット」が何者であるかを明らかにしておくことでしょう。
そこでまずは、「マインドセットとは何ぞや?」というところから確認していきましょう。
マインドセットは、本来は「アメリカの心理学者キャロル・スーザン・ドウェックが提唱した心理学用語」で、「人間が持つ『無意識の思考』や『行動パターン』、『固定観念』、『思い込み』、『物事を捉える時の思考の癖』などを総称するもの」です。
というのも、人間の思考は「『今までの経験』や『持っている知識』、『先入観』、『信念』などの様々な要素から成り立ち、その人の思考や行動の根幹を形作っている」からです。
ただし、人間のマインドセットは「遺伝的なものではない」ため、「意識すること」や「習慣化」によって「後天的に変えられる」という特徴があります。
ちなみに、ビジネス用語では、「考え方の基本的な枠組み」というような意味合いで使われる傾向にあります。
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マインドセットの種類
マインドセットには、「ドウェックが提唱した一般的なもの」と「ビジネスにおけるもの」の2種類があり、さらに、それぞれが2つに細分化され、全部で4種類に分けられるんですよ!
一般的なマインドセット
・成長型マインドセット(growth mindset)
・停滞型マインドセット(fixed mindset)
ビジネスにおけるマインドセット
・個人のマインドセット
・企業や組織のマインドセット
そのため、ここでは、「一般的なもの」と「ビジネスにおけるもの」に分けた上で、それぞれの細かい内容を見ていくことにします。
一般的なマインドセット
「一般的なマインドセット」は、
・成長型マインドセット(growth mindset)
・停滞型マインドセット(fixed mindset)
の2種類に細分化されます。
それぞれの特徴を把握していきましょう。
成長型マインドセット(growth mindset)
成長型マインドセット(growth mindset)は、別名を「しなやかマインドセット」とも言い、「人間の能力や資質は努力次第で成長させられる」とする考え方です。
この考え方を持つ人は、「物事を潜在的に前向きに捉えられる」ことから、「挑戦」や「努力」、「粘り強く頑張る」などの行動を取れるという長所があります。
また、仮に「無理難題に直面した」としても、「絶好のチャンス」と考えられるため、例え「問題が解決できなく」ても「そこから何かを得られること」に「喜びを感じ」られ、「少しずつ修正しながら前進していく」傾向にあると言えます。
そのため、「今最も求められている考え方」でもあるんですよ!
停滞型マインドセット(fixed mindset)
停滞型マインドセット(fixed mindset)は、別名を「硬直(固定)マインドセット」と言い、「人間の能力や資質は一定で決まり切っていて不変である」とする考え方になります。
この考え方を持つ人は、「周囲に自身の有能さを示そうとする」ものの、「挑戦や新たな学習をせず、失敗を何よりも恐れる」という困ったクセがあります。
さらに、「問題を解決できない自身」に対し「ダメな人間である」という烙印(らくいん)を押してしまい、「今の状態にこだわり続けてなかなか先に進もうとしない傾向がある」ことも特徴といえるでしょう。
ビジネスにおけるマインドセット
「ビジネスにおけるマインドセット」は、
・個人のマインドセット
・企業や組織のマインドセット
の2種類に分けられます。
それぞれの違いを把握していきましょう。
個人のマインドセット
「個人のマインドセット」は、「『信念』や『経験』、『成長してきた時代背景』などから形成された個人が持つ思考の傾向」を指します。
そのため、既に挙げた「成長型マインドセット」、「停滞型マインドセット」のどちらも含まれる概念となります。
企業や組織のマインドセット
「企業や組織のマインドセット」は、「企業や組織の『戦略』や『理念・ビジョン』、『販売している商品やサービスの特性』などにより形成されるもので、「社風や組織文化として現れることが多い」ことが特徴です。
特に近年では、「市場やターゲット顧客の変化に合わせて変えていく必要がある」とされますがが、「人材の出入りが少ない組織や企業ほど難しい」と言われているようです。
そのため、「いかにして企業や組織のマインドセットを柔軟にするか?」が求められていると言えます。
なぜマインドセットは重要なのか?
「個人における成長型マインドセット」と「企業や組織のマインドセットの柔軟性」が求められていることはご理解いただけたかと思いますが、なぜ「マインドセットは重要」なのでしょうか?
その理由としては、次の2つが挙げられるでしょう。
・成長のスピードを早くするため
・仕事で成果を出しやすくさせるため
変化の早い時代においては、「成長のスピード」も「仕事での成果」も「いかに効率良く早く出すか」が求められていますよね。
そのため、「成長型マインドセットを基盤とした柔軟性のある企業や組織のマインドセット」が「重要視され、求められている」というわけです。
ちなみに、「成長のスピード」と「仕事での成果」を両立するために持っておきたいマインドセットの例を挙げたのが、以下になります。
持っておきたいマインドセットの例
新入社員の場合
・ビジネスパーソンとしてのマインドセット……「学生」や「消費者」からの脱却のため
・仕事を教わるうえでのマインドセット……自ら質問しにいく主体性やもらったフィードバックに対して真摯に受け止める素直さなどを身につけていくため
若手社員の場合
・任せられた仕事をやり抜く責任感
・知識や経験を積み重ねる積極性
中堅社員の場合
・周囲に働きかけをするリーダーシップ
・周囲の話に耳を傾ける傾聴力
・次のステージに向けて取り組む成長意欲
管理職・リーダーの場合
・自ら仕事を作り、最適解を生み出せるようにすること
・広い視野・視座で物事を考えること
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マインドセットの活用事例
では、マインドセットは実際にはどのように活用されているのでしょうか?
実際に活用している企業では、主に下記の4場面でマインドセットを活用しているようです。
・採用面接
・目標設定
・コーチング
・人材育成
それぞれの場面でどんなことを目的にマインドセットが活用されているのかも知っておきましょう。
採用面接
「採用面接」においては、「成長マインドセットを有しているかの確認」を目的に、マインドセットの活用が行われています。
面接時の質問の回答から、「自己評価のバランス」や「行動優先意識」、「他責・自責思考」などを汲み取っていくことで、「成長マインドセットを有しているか」を判断していきます。
ちなみに面接時の質問事項には、「過去の成功体験」や「チャレンジしたこととその結果」などを加えておくこともおすすめです。
なぜなら「過去の成功体験についてすぐに話せる」、「成功までのプロセスを詳細に語れる」場合は、「成長マインドセットを有している可能性が高い」からです。
目標設定
目標設定をする上では、「停滞型マインドセットはマイナス要因となり得る可能性が高い」と言えます。
そのため、「停滞型マインドセットの可視化」を目的に、「マインドセットの概念が活用され」ているんです。
具体的には、「自身の思考のクセをマインドマップ(思考の状況を見える化させたもの)に落とし込む」ことで、「どこに停滞型マインドセットの原因があるか」を探っていきます。
コーチング
コーチングでは、「成長マインドセットを身に付けさせること」を目的にマインドセットの活用が行われています。
マインドセットを活用してコーチングを進めていく上では、誰もが「成長と硬直の両方を持っていること」を前提に、結果ではなく「具体的なプロセスを褒める」ことで、「努力への肯定感を生み、成長への意欲を増やさせる」ことが重要ですよ!
人材育成
人材育成においては、コーチングと同じく「『成長型マインドセットの獲得』を目的としたマインドセットの活用」が行われています。
また、「戦略思考」や「経験学習」も兼ねて行われていることが多いようです。
マインドセットを変える方法
ここまでの話を追っていく中で、「自分は停滞型マインドセットだ……」と気付いてガッカリされた方もいるかもしれませんね。
ですが、最初にお伝えしたように、マインドセットは「後天的に変えられる」ものです。
そのため、今回のお話の最後として、「停滞型を成長型」に変えるための方法をお伝えしていきますね。
マインドセットを変える方法
・自身のマインドセットを自覚する
・環境や人間関係を変える
・読書を習慣化する
・すぐに行動する癖をつける
・ビジュアル化する
自身のマインドセットを自覚する
マインドセットとは、「人間が持つ『無意識の思考』や『行動パターン』、『固定観念』、『思い込み』、『物事を捉える時の思考の癖』などを総称するもの」でしたよね。
そのため、「成長型だけ」や「停滞型だけ」を持つ人は少数派で、ほとんどの人は「成長型も停滞型も持ち合わせている」と言えます。
つまり、「普段は成長型」であっても、「自身の不得意な分野に対しては停滞型になっている」という場合が多いんです。
だから、「自身のマインドセットを自覚する」ことにより、「停滞を成長に変えるためのきっかけに気付いていこう」というわけです。
環境や人間関係を変える
マインドセットは「周囲の環境や人間関係の影響を少なからず受け」ています。
そのため、「住む場所や毎日のルーティーンを変化させ、新しい価値観や生活パターンに触れること」でも「マインドセットは変えられる」と言えます。
「朱に交われば赤くなる」という諺(ことわざ)がありますが、「人間は周囲の影響を受ける生き物」です。
ですから、「停滞型マインドセットの人とばかり仲良くせず、成長型とも交流してみること」を意識しても良いかもしれませんね。
要するに「行動してみることが大事」でしょう!
読書を習慣化する
マインドセットには「持ち合わせた知識」も要素として加わってきます。
そのため、読書をすることで、「知識をインプットする習慣を付ける」ことも重要でしょう。
とは言え、「入れっぱなしでは意味がない」ため、「読書した記録を付ける」や「心に残ったフレーズを書き留めてみる」といった「アウトプットする習慣」も合わせて付けていけると「なお良い」と言えます。
すぐに行動する癖をつける
「環境や人間関係を変える」の結論としても挙げた通り、「行動してみること」は肝心です。
例えば、素早く行動することで、「解決のタイミングを見誤らずに対処でき」たり、「成功の前に立ちはだかる壁の数を減らせる」というメリットがあるからです。
そうは言っても、「『善は急ぐべきものの、急がば回れ』ということもある」ため、「見切り発車で行動しない」ように気を付ける必要はあるでしょう。
ビジュアル化する
一般的に、「人間の感覚情報の入力源」は「視覚が80%を占めている」と言われています。
(ちなみに、「視覚+聴覚で90%」)
そのため、「目で見て分かる」ようにしておくことも重要となってきます。
具体的には、「活用方法」の「目的設定」でご紹介したように、「マインドマップにまとめてみる」などしてみると良いでしょう。
なお、新しく構築したマインドセットを定着させるためには、「小さな成功体験を積み重ねる」ことで、「挫折感を感じやすい停滞型思考」から「『ポジティブな成長型思考』への変化をイメージすること」も肝心です。
まとめ
「時代の変化への対応力」が求められていることから、個人には「成長型マインドセット」が求められ、企業や組織には「成長型マインドセットを基盤とした柔軟性のある企業や組織のマインドセット」が求められています。
そのため、「『採用面接』や『人材育成』などの場面で活用されることが増えて」きています。
しかし、マインドセットは「『無意識の思考』や『企業や組織の辿ってきた足跡(そくせき)』などにより形成されるもの」であるため、一朝一夕(いっちょういっせき)に刷新はできません。
とは言え、「マインドセットは後天的に変えられる」ものなので、「上手なコーチング」などをきっかけに「変えていける」ことも特徴です。
マインドセットを活用して、「成長型マインドセットを基盤とした柔軟性のある企業や組織のマインドセット」を持つ企業になれると良いですね!
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