人材マネジメント
心理的安全性と学習の関係 著書スキルマネジメントPart.9
※こちらの記事は、著書「従業員エンゲージメントを仕組み化する スキルマネジメント」の内容を基に構成しています。
前回のお話では
「人生100年時代、100年働ける生き方を!著書スキルマネジメントPart.8」
について、お伝えしました。
今回は、職場環境を整備する上で、成功例も添えながら
「心理的安全性の高さ」について、お伝えしていきますね!
心理的安全性と学習の関係
組織における成長環境の整備具合とは
・社員のモチベーションがアップされる、職場環境であるか
・「個々のスキルアップを支援できる」組織のシステムが、構築できているか
これらが実現されているかで、わかります。
当社では、2018年頃まで
「エンゲージメント・スコアが上昇したにも関わらず、チームや個人での目標へ
向けた取り組みや、個人の資格取得、モチベーションが減少する」という
危険な状況がつづいていました。
この件について、詳しくは
「従業員満足度のままで陥る落とし穴 再注目される「エンゲージメント」 著書スキルマネジメントPart.3」
の記事を、参照してください。
当時、社内では「従業員満足度と、従業員エンゲージメントのすり替わり」が
起きていましたが
加えて「心理的安全性 (psychological safety)」 の観点でも
問題が生じていたのだろうと、今なら分かります。
心理的安全性とは、何のこと?
最近、「心理的安全性」という言葉を耳にする機会が、増えていませんか?
「心理的安全性」とは、組織行動学の研究者
エイミー・エドモンドソン氏が、1999年に提唱した概念です。
組織行動学とは、「組織の中の個人や、集団の行動の研究」のこと。
具体的には「チーム内のメンバーから、自身の発言に対する拒絶や、罰を受けないと
安心して発言できる状態」と、定義されています。
確かに、仲の悪い職場だったとして
・すぐに自分の発した意見がキャンセルされたり
・無視されたり
・「それは違う」と、意見を全否定されたり
こんな体験ばかりですと、新人も怯えてしまいますよね。
私も怖くてブルブルしそうです。
アイデアが浮かんでも「また否定されるかもしれないから」と、意見の言いづらい環境に
なってしまいますよね。
この反対で「仲がよくて、自分のアイデアや意見を気軽に言える職場」のことを
「心理的安全性が高い」職場、と呼びます。
グーグル社による「成功し続けるチームに、必要な条件を探すプロジェクト」では
生産性が高いチームは心理的安全性が高い
とする、研究結果が発表されました。
仲が良くて、気軽に意見やアイデアを受け入れてくれる上司や、仲間に恵まれていたら
モチベーションもアップしやすいでしょう。
実行に移せそうなアイデアも、意見がいいやすい職場なら、ポンポン出てくる可能性が高いです。
さらに、「従業員エンゲージメントとの相関性」も見られました。
またチームリーダーからの、メンバーへの支援。
働きかけは、個人や組織に効果的な学習や、パフォーマンスの向上をもたらすことが
わかったのです。
真の「心理的安全性の高い職場」に辿り着けるのか!?
くり返しにはなりますが
当社が、エンゲージメント・サーベイの結果を踏まえて、
上司による部下への寄り添いに注力してきた事は、ご存知の通りです。
上司から日々コミュニケーションを取ることで、確かに「社員間での安心感は形成」されました。
ところがその結果……
図2、左上のような
「心理的安全性は高いのに、目的達成に対する意識が低い」という
職場環境が、できてしまったのです。
多くの一般社員が、ぬるくて居心地のいい、快適な職場環境に慣れてしまい
「肝心の仕事するモチベーションは低く、生産性も低い」という
プロ意識に欠けた現場になっていたのでした。
これはけっこう間違えやすいと思うのですが
従業員が安心できる「安全で優しい職場環境を作ること」、ばかりに専念しすぎると
当社のように、従業員満足度のみを追い求め、「かえって個人の学習意欲を削いでしまう」
といったような、悪い方向に流れる危険性があったのです。
そうならないためにも
「上司と部下がともに、会社の方向性と、個人の成長への目的意識を持つこと」を
意識すると、いいでしょう。
異なる意見も、ポンポンと率直に言いあえるような「仲のいい、信頼関係」を築かなければなりません。
その際には「優しいとぬるい」を、間違えないように
接していかなければ、ならないと思うのです。
本記事の内容はこちらの書籍をもとに作成しています
従業員エンゲージメントを仕組み化する スキルマネジメント:中塚敏明著
リーダーのスキルだけに頼らない、安全な環境を
現場マネジャーや人事担当者が、「心理的安全性の高い職場環境を構築する際に
社員のモチベーションを下げない方向を、意識してしまうのは
ムリもない話なんですよね。
慢性的な離職傾向と、人材育成の難しさに、悩みを抱えている側の意見としては
まず「早期に離職を防ぐこと」が、最優先とされるからです。
入社して、すぐに退社されたら、どこの会社も困ってしまいますから
また、昨今のコンプライアンスや、働き方改革などの風潮もありますから
チームリーダーが、ある日メンバーが失敗しても
「うっかり叱れない」
「叱ったら、会社を辞めてしまうかもしれない」
といった事を考えすぎて、明らかに一言アドバイスしたほうがいいのに
「見て見ぬふりをする」といった状況が、あるかもしれません。
特に叱られ慣れていない若年層は、ちょっと叱っただけで「人格否定された」と勘違いして
「上司のせいで、鬱になった」とか、言いかねない人もいますよね。
しかし、やはり人間として駄目なものは駄目
ルールはルール。叱って鬱になるとかない、守らなければ給料は出ない
だって仕事にならないから。
それを理解してもらえるよう、「日頃から仲良くなっておく」のが大事なのかな、と思うのです。
心理的安全性と目的意識で、生産性アップ!
ぬる湯のような環境ではなく、互いに切磋琢磨し、学習できる環境を作るには
どうすればいいでしょうか?
それには、以前の記事でもお伝えした
「人だけでなく、仕組みごと変えてみる。
どんな人材もそのシステムを使えば、能力を発揮しやすくなる」
そんな環境があったなら、ベストですよね!
最良の解決策のために、スキルティは
この能力開発システムを、構築することにしたのです。
また、エイミー・エドモンドソン氏は
『恐れのない組織 「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす』(英治出版 2021) という
書籍の中で、こう語っていました。
「安全性だけが高ければ良いのではなく、目的意識があってこそ
個人や会社の生産性の上昇が、成立する」と。
ということは、安全性だけではダメだと、ハッキリ語ってるんですよね
組織の中に「目的意識」がしっかりなくては、繋がりも弱くなるのだと。
私自身も、チームの安全性の追求に加え、上司と部下の対話したデータを
客観的に見たときに、痛感したのですが
「会社と個人の成長に、フォーカスする意識」を忘れるべきではないと、考えています。
実体験!心温まる職場は、システム構築できる!
これは、実体験にもとづく率直な意見ですが
社員の早期離職を防ぐためだけの、「安全、快適、働きやすい職場環境」を用意したのですが
組織と個人、両方の目標達成は……叶いませんでした。
プラス、こういった「2種類の策」が必要となったのです。
・人間らしい、心温まる交流ができる、職場環境作り
・デジタルツールなどを活用した、個々の成長環境の整備
今、経営において「心理的安全性の高い会社にしたい、そして業績アップしたい!」と
悩んでいる方が、この記事を読んでいるのであれば
この2種類の手法を、組み合わせた経営スタイルを、オススメしたいと思います!
次回は「構築すべきは「20代に向けた」成長環境 著書スキルマネジメントPart.10」
の特集で、お会いしましょう!
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