従業員エンゲージメント
エンゲージメントを高める、発想転換!〜人から仕組みへ〜 著書スキルマネジメントPart.6
※こちらの記事は、著書「従業員エンゲージメントを仕組み化する スキルマネジメント」の内容を基に構成しています。
スキルティ株式会社が直面した「人材危機」
前回のお話、 従業員エンゲージメントを高める3要素 理解度・共感度・行動意欲とは?再注目される「エンゲージメント」 著書スキルマネジメントPart.5では「従業員エンゲージメントを成立するために必要な要素」をお伝えしました。
今回の特集では「従業員エンゲージメントを高めるための、発想転換」について
分かりやすく、お話ししていきましょう。
根本的な発想をシフトすることで、若手の才能をアップデートさせる事が
できるのです!
若手へのゴキゲン取りと、信頼関係の違い
これはリアルな話なのですが、当社(スキルティ株式会社)も「業務に直結するアクションプラン」となる、自社が求める社員像や、役職ごとに期待される行動が
理想ばかりでキチンと出来ていなかった時期が、ありました。
そのころの当社は、社内で「エンゲージメント値の、伸び悩みの時代」が、あったのです。
もちろん当時だって、エンゲージメント値をアップさせるための、取り組みはしていました。
ところが、その取り組み方が間違っていたのでしょう。
「エンゲージメントをアップさせる=若手社員のゴキゲンを取る」
という手法だったのです。
これは前にも書きましたが
無理にゴキゲンを取りにいくのと、信頼関係をアップさせる事は
まったく、違うものでした。
無論、たいして仕事もうまくないのに、ご機嫌をとれば
気持ちがパッと明るくなる社員はいますよ。
「入社歴の浅い社員の、離職防止」には役立ちました。
でも実力もない人を、無理やり褒めて伸ばそうとするのは
褒める方も、ストレスのたまる作業ですよね。
育成担当の、マネージャーの方が「寄り添い疲れ」を起こしてしまったのでした。
まさかのマネージャーが離職!社内はエマージェンシー
ここでストレスに身をやられた、育成担当マネージャーの方が
離職をはじめる、という地獄のような事態が起きました。
結果としては「人材流出が止まらない」という悪循環に陥ったのです。
この時は大変でした……!
私も、並々ならぬ危機感を覚えたのです。
また同時に「人が人を教え導く」という、「従来型マネジメントの限界」にも気付いたのでした。
マネージャー層がストレスMAXでは意味がない
育成担当のマネージャーがいる事で
若手や新人が、努力を認めてもらえてプラスになる事は、もちろんありました。
しかし「一人の人間を育て、サポートする」ことを
マネジメントとして、誰かに全責任を押しつけるシステムは、
果たして正解だったのでしょうか?
人事担当や、育成担当のマネージャーがいる事で
担当している新人が育たなかった場合は
逆に「全責任を負わされるかも!」という、プレッシャーが発生するとは
誰も考えた事がなったのです。
無事にスクスク、才能ある社員へと
育てばいいのですが……
マネージャーがどんなに情熱を傾けて、褒めて育てても
本人がやる気のない場合や、仕事に向いてない場合
悪意のない、何気ない言動を「ハラスメント」として解釈された場合など
これはもう、どうしようもありません。
新人の不手際=人事担当の不手際
なんて、冗談じゃないでしょう。
でも、よくある事だったんですよ。
おそらくは、人事担当しかわからない苦労が
見えない肩に降りつもり、立ち上がれないくらい、重くのしかかっていったのでしょうね。
またコロナ渦による、リモート化で
社員同士、直接顔を合わせる機会も激減しました。
それにより新人の育成も、「たった一人に全てを任せる」という手法に
限界を感じるように、なっていったのです。
毎日のコミュニケーションはプラスもある
もちろん、エンゲージメントをアップさせる為に
部下とコミュニケーションを取る事は、プラスの方が多い事もわかっていますよ。
250万のチームを対象にした研究によると
「マネージャーが毎日、部下とコミュニケーションを取った場合
そうでない時に比べて、
部下がエンゲージメントを抱く割合は、約3倍
エンゲージメントが約3倍もアップした、という結果もあるのです。
ですから、毎日コミュニケーションを取るって、本当はいい事の方が多い筈なんですよね。
上司と部下が仲良くできれば、仕事も楽しくサクサクできた〜!
なんて事も、ありますし。
ですから、コミュニケーションの取り方や、褒め方も
適度に仲よく、が本当はいいんですよね。
本記事の内容はこちらの書籍をもとに作成しています
従業員エンゲージメントを仕組み化する スキルマネジメント:中塚敏明著
プログラムと人材育成の才能は、別物!
今思えば
なかなか育たないからといって、新人をムリに褒めたり
やる気のない背中をバンバン押しても、仕方がなかったのだと思います。
「管理職側が疲弊する」ほど、新人が育たないって
それは管理する側だけの問題だったんでしょうか?
なんて疑問も、今なら湧きますね。
また、仕事に優秀な人材が
「育成するマネージャーの仕事にも優秀」かどうかは、わかりませんから。
プログラマーとして優秀な人が
人材の育成に優秀かどうかは、わからないと思うんです。
「人材育成とプログラムの才能」は、全然別のモノだという事を
我々は、後になって気付いたのでした。
悪循環に革命の火を!
また、ここで問題になったのは
「管理する側の、担当マネージャーが疲弊してしまったのを
新人達が近くで、気付いてしまった事でした。
若手社員は、寄り添い疲れをしたマネージャーを目の当たりにして
「出世すると、人材育成などの全般的な責任を、負わされるんだ……!」
という刷り込みをしてしまいました。
これは、よくない結果ですよね!
最悪の事態に陥って、まるで生まれ変わるように
私たちは会社のシステムから、改革したのです!
人から仕組みへの転換
当社で巻き起こった、悪循環の正体がわかった事
これが……結果、大きなターニングポイントになりました。
私は「原因を根幹から断ち切る」ため、従来のマネジメント手法を、捨てました。
そして、マネジメントそのものを「デジタルツールと、それを操作する本人に委ねる」
という仕組みを作ろう! と決意したのです。
私は、マネジメント業務に含まれる能力開発の中でも、
長期的な視野で見た場合に「人が担うべき人材育成で、重要な面」
以外を、「システムに任せよう」と決めたのでした。
この考えに至るまでの、私の思考の変化を、わかりやすく書き記してみました!
なぜ、人材は流出してしまうのか?
ここでは、当社が至った人材流出の経緯と
その後、どういったシステムを構築したか、という事を
分かりやすく説明していきたいと思います。
仕事の結果は「誰が手がけるか」で、成果に差が出ることが判明。
↓
エンゲージメントアップのため、新人とコミュニケーションを取る
↓
ご機嫌を取りすぎて、担当マネージャーの方が疲れる
↓
離職による意図しない優秀な人材の流出が、起きる
組織とは、『優秀な2割の人材』と
『8割の練度に差のある人材』とで構成されるものである。
↓
どうすれば「人材流出」を防げる仕組みが作れるのか?
考えてみた。
↓
人材が凡庸でも「システムが優秀」であれば、よい組織は成り立つのでは?
↓
理想は「誰が手がけても、得られる仕事のクオリティは同一」
になる仕組み。テンプレ。
↓
さらに教育次第では「高い成果の達成」も可能。
↓
理想は、「離職による意図しない優秀な人材の流出」が起きたとしても、それをカバーできる
ほどの「優秀な仕組み」。それを創りたい!
↓
でないと、苦労して育成した人材がやめた場合
教え損、育成費用のムダといった案件が、発生する。
↓
人材が優秀であれば、「会社は急成長し、業績が大幅アップ」する可能性が高い。
会社の業績は、人材に左右される。
↓
自社の資産となり得る「固有の育成システム」を、構築したい。
また「会社の業績も、人材によりクオリティの落差が激しいといった事がなくなる。
一定のクオリティが保てるように、なる。
↓
「全体の成長と業績アップ」が同時に見込める。
私の思考は、こういった感じで変化していきました!
要するに「自社の資産となる、オリジナルの育成システム」が構築されてさえ
いれば、どんな人材でも、一定のクオリティ高い仕事ができるようになる!
といったシステムです。
このオリジナル育成システムを、現実的に構築する事で
弊社は最大の危機から、脱出することが出来たのでした!
能力開発は、システム化できる!
当社では、「能力開発の新たな概念」として
スキルマネジメントを、システム化させた
「自社育成クラウドサービス」を開発しました!
これにより
「人とデジタルツールによる能力開発の、分業化」が実現したのです。
これは本当に、革命的なツールで
デジタルツールなので、「社員個人によるセルフマネジメント」が可能になったのです。
セルフマネジメント、本気いいですよ。
担当マネージャはいらないし、疲れないし
自分でマネジメントするから、やりがいも出てくるし。
このシステムが実現化された事で、当社の全社員を対象としたエンゲージメント・スコアも「ようやく」上昇に向かい始めました。いや〜……危なかったです!
危うくディストピアでした。
能力開発のデジタル化により、未曾有の危機を脱出したのでした。
今思えば「危機感を感じたからこそ」
死ぬ気で、このシステム開発に乗りだせたと思うのです。
本能みたいなものでしょうか。
人の能力開発は、システム化できる!
この時の経験や苦労は、システム開発に活かすことができた……!
と、しみじみ思うのです。
次回記事 「高エンゲージメント組織」に生まれ変わるための3ステップ 著書スキルマネジメントPart.7では、高エンゲージメント組織を構築する上で「具体的に整備するべき事柄」とその「優先順位」について触れていきます。
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