従業員エンゲージメント
再注目される「エンゲージメント」 著書スキルマネジメントPart.1
※こちらの記事は、著書「従業員エンゲージメントを仕組み化する スキルマネジメント」の内容を基に構成しています。
日本企業では、「エンゲージメント」が再注目されています。
ここで言うエンゲージメントとは、「企業や組織に対する愛着や信頼度合い」や「それに由来するやる気」を指しています。
では、なぜ、「エンゲージメントに再注目が集まっている」のでしょうか?
その背景には、次の2つの事情があると言えます。
1.SDGsに対する意識の高まり
2.「エンゲージメント自体の価値」の再評価
それぞれの要点を詳しく見ていきましょう。
SDGsに対する意識の高まり
最近よく耳にする「SDGs(エスディージーズ)」って、何でしょうか?
SDGsは、「Sustainable Development Goals」の頭文字を取った、略称。
「持続可能な開発目標」という意味がありました。
2015年の国連サミットにて、“世界共通の目標"として、誕生した取組みなのです。
これは「17の大項目と169もの課題」から、構成されていました。
このうち、企業の取り組みとして密接に関わってくるのが、大項目の8番目、「働きがいも経済成長も」です。
「働きがいも経済成長も」
いい言葉ですね!
男性、女性、老若男女がそれぞれに「働きがいを持って仕事に挑めたら」
会社の業績も、グングンアップするでしょう。
この大項目を達成するためには、「従業員の自己実現と企業の発展が連動する経営戦略」が求められます。
そのため、「エンゲージメント・サーベイ(従業員の企業や組織に対する愛着や、信頼度合いを「見える化」するための調査)」が必要となってきます。
エンゲージメント・サーベイ、してますか?
信頼度や、従業員のモチベーションが「見える化」してあると
対策も立てやすいですよ。
従業員サイドも、抱えている不満が緩和されて、かなり楽になるのです。
社員の生産性って、モチベーションと比例している場合も多いので
「エンゲージメント・サーベイ」って、とっても重要。やっておくと
ダイレクトに、業績への影響があるのでした。
また大項目4番目、「質の高い教育をみんなに」というビジョンも
大切な項目のひとつ。
大項目4番目の課題には
「2030年までに、技術的・職業的スキルなど、雇用、働きがいのある人間らしい仕事及び起業に必要な技能を備えた若者と成人の割合を大幅に増加させる」とありました。
この課題を解決するためにも「エンゲージメント」が、
大きな意味を持ちつつあるのです。
「エンゲージメント自体の価値」の再評価
SDGsへの意識の高まりを1つのきっかけに、「エンゲージメント自体の価値」も再評価されつつあると言えます。
「従業員のエンゲージメントの高い企業」では
・離職率の低下
・売上・利益の増加
・労働生産性の向上
・顧客満足度の上昇
・社内交流の活性化
・情報シェアの促進
などの良い傾向が、数多く見られました。
また、「従業員エンゲージメントの高い社員」にも、良い特徴があったのです。
【従業員エンゲージメントの高い社員の特徴】
・モチベーションが高い
・会社への貢献度が高い
・同僚からの感謝などにも、やりがいを感じている
・ポジティブな力が強い
良い風を、連れてきてくれそうですね!
「従業員エンゲージメントという概念」は
2000年代、海外(主にアメリカ)から日本へと輸入されました。
その結果、大企業を中心として、それまでの「従業員満足度調査」に代わり、「エンゲージメント・サーベイ」が導入されるようになっていったのです。
本記事の内容はこちらの書籍をもとに作成しています
従業員エンゲージメントを仕組み化する スキルマネジメント:中塚敏明著
実は低い日本の従業員エンゲージメント
SDGsという世界的な取り組みもあって、洋の東西を問わず、「従業員エンゲージメント」は注目を集めています。
ところが、日本はまだまだ「従業員エンゲージメント途上国」と言えるのです!
例えば、アメリカでは2020年に「米国証券取引委員会(投資家の保護と、公正な証券取引を目的とした独立の連邦政府機関) 」が先導する形で、「上場企業に対する人的資本の情報開示が義務付け」られました。
そのため、日本においても「上場企業を対象として、『エンゲージメントをはじめとする経営情報の開示』を義務付けよう」という流れが生まれつつあります。
しかし、「日本企業における従業員エンゲージメントの調査結果」は、「決して高くはない」のです。
これは……問題ですね。
事実、「『コーン・フェリー』社(※アメリカのコンサルティング会社)が、2020年に世界25ヵ国を対象に行ったエンゲージメント調査」によれば、日本のエンゲージメント・スコアは「56%」。
「最も低い数値」でした。
世界の平均値が「66%」とのことですから、「10%も下回る」結果は、 「世界最低水準」と言えるでしょう。
うわあ……問題ですね。
確かに、ネガティブな社員っていますもんね。いっつも不満ばっかり言ってる社員が大勢いいたら
会社もさぞかし、ダークトーンになる事でしょう。モチベーションって、大事なんですよね。
また、ある検証データの「日本の従業員は、諸外国と比べ会社への貢献意欲が劣る」という文言からは、「日本における人と組織の絆の弱さが読み取れ」そうです。
とは言え、2000年代以前の「終身雇用が保証されていた時代」であれば、経営陣が「個人の仕事へのやりがいや貢献意識」などに無頓着であっても、「人材の流出」には繋がりませんでした。
だってその時代、「終身雇用」でしたから。
モチベ上がらなくても、定年までは働ける保証があったからですよね。
サザエさんの波平さんとか、その時代の象徴じゃないでしょうか?
日本中のほとんどの人が、会社を信頼し、リラックスしながら定年まで働けた時代があったのです。いいなあ。
みんなが庭つき一戸建てを買える年収があり、子供もしっかり養えて
車を一台は持ち、週末はドライブっていう時代ですよ。
その後「バブル」っていう、時代もありましたからね。
今では、信じられないかもしれませんが
バブル期は、「面接に行くだけでお金がもらえました」
具体的にいうと、3000円〜1万円くらい。いや、本当です。
「面接に来てくれて、ありがとう〜。これ交通費です。
はい、一万円」
事実ですよ?
帰りは、タクシー代もらえる会社もありました。
そりゃ、そんな好景気な会社だったら誰も離職しないでしょうね。
でも、そんな時代は泡と消えました。
現在では、バブルのちょっと前の世代「団塊の世代(※1947年〜1949年にかけて生まれた世代。「第1次ベビーブーム世代」)の大量退職」や、「価値観の多様化」が進み、「従業員エンゲージメントを低いままで放置しておくこと」は、企業側にとって大打撃。
「マイナス要因」になる時代と、なりました。
なぜなら、「仕事に意義を見出せない環境におかれた若手社員」は、かつてとは異なり、「ためらうことなく職場から去っていく」からです。
3日でいなくなる、新入社員とかいますよね。
そこまでいかなくても、今はコミュ障の若者も多く
自分からうまく上司に相談できなくて、モヤモヤしたまま悩みを抱え
問題解決しないままに、会社を去っていく20代の子もいます。モチベーションの上がらない職場なら、発生する光景ですよね。
会社や、上司サイドから手を差し伸べて「仕事の悩みあったら、話そうか」っていう
場を作るのも、大切になってきていました。
そのため企業は、「若手社員の早期離職を防ぎ、かつ効果的な人材育成を行い、どうやって従業員エンゲージメントを高めていくか」 という「後回しにしてきた課題」と「正面から向き合わなければならなくなってきている」と言えるでしょう。
次回従業員満足度から従業員エンゲージメントへ 再注目される「エンゲージメント」 著書スキルマネジメントPart.2では、「従業員満足度(ES)」をキーワードに従業員エンゲージメントについて触れていきたいと思います。
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